無名の英雄になる覚悟
新たに3144g、母子ともに健康で、安産だったとのご報告を頂きました。何よりもまずは、ほっと胸をなで下ろしています。
この活動を始めて早くも3年になりますが、ありがたいことに、これまでに大きな失敗やクレームといったものは一度もありません。
唯一あったのは、こちらとしてはこれ以上ないほど丁重にお断りしたにも関わらず、「なぜ提供してくれないのか!」と逆上されたケースが数件あったくらいです💦(本当に勘弁してくださいm(_ _)m)
提供活動を通じて「奇跡」と思えるような瞬間に何度も立ち会ってきましたが、どれも決して偶然ではなく、真剣な想いと誠意、そして命に対する敬意が積み重なった結果だと感じています。
もちろん、ネット上には何百人、何千人という提供者が存在しています。ですが、命を授かるという極めて大切な選択において、妥協した相手から命を授かりたいと思う方はいないでしょう。そして、僕もそのような方々の期待に応えるべく、常に最善を尽くすよう心がけています。
たとえ何度経験していても、初めてお会いする方との面談や提供時には毎回緊張します。それは、命に関わるというこの活動の重みを理解しているからこそ。逆に、緊張もせず、軽い気持ちでこの活動に臨もうとする人がいれば、そのような方にはそもそもオファーが届かないと思います。
ありがたいことにこれまでご面談した全ての方からご指名をいただき、そのうち90%以上がご懐妊されています。この数字は、単なる偶然ではありません。
偶然という名の必然
このブログの記事を書きながら思い出したのは、僕の好きなアーティストであるUVERworldの歌詞です。
「いつか誰もが驚くような奇跡がこの身に起きたとしても、きっと僕だけは驚きはしないだろう。起こるべき奇跡が起きただけさ。」
これまでに生まれてきてくれたすべてのお子さまは、2500g以上・正産期・自然分娩でのご出産。母子ともに健康で、何よりも健やかに命を迎え入れられたことを、本当に嬉しく思います。この事実は、僕にとって何よりも大きな喜びであり、励みとなっています。
もちろん、既にご縁のある方、成功体験がある方との二人目のご希望であれば、自然と安心感は大きくなりますし、実際のところリスクも格段に抑えることができます。
正直なところ、同じくUVERworldの
「ここでやめときゃ俺の勝ち」
という歌詞も脳裏をよぎります。それだけ、ひとつひとつのご縁と向き合うことには、大きなエネルギーと覚悟が要ります。
しかし、生まれてくる子どもたちの笑顔や、幸せそうな家族の姿を見るたびに、この活動を続けていく意義を再確認することができます。
当然ですが、精子提供において「第二希望」「第三希望」といった並行的な進行は一切ありません。だからこそご夫妻の大切な”1周期”を預かるということは、その責任の重さを真っ向から受け止めるということです。

数年も経てば、僕のことは忘れ去られてしまうかもしれない
提供前の面談において、皆様、それはもう必死に懇願なされます。
実際のところ、この提供活動を通じて、一番多くいただいた言葉は「神様」でした。
しかしながら、生まれてきたお子さまが成長していく日々の中で、ご家族の人生が豊かに広がっていけば広がっていくほど、僕の存在は背景へと薄れていくでしょう。
でもそれでいいのだと思っています。
大切なのは、僕ではなく、その子が無事に生まれ、元気に息をしている世界を周りの誰もが喜び、讃えているという事実です。
その笑顔や幸せが確かにそこにあるのなら、僕が表舞台にいる必要などありません。
誰に知られなくても、名前が残らなくても、誰かの人生の裏側でそっと力になれたのなら、それだけで十分です。
一旦は保身から、既存提供先の方へ限定して、もうクローズしようと思ったのですが、海外出張から帰国し、もう一度勇気を振り絞ってみようと思いました。
これまでの経験と実績、多くの方々からいただいた信頼を考えると、まだ僕にできることがあるのではないかと感じたからです。
出逢えて良かったと、これから先もずっと言われ続ける自分でありたいと思います。