
5年間、子どもを望みながらも授かれなかったご夫婦。
僕と出会った当初、旦那さまの無精子症が原因で、奥さまは深い悲しみや孤独を抱えていました。「どうして私ばかりが涙を流さなくてはならないのだろう」――そんな切実な言葉が投稿された日もありました。
何度も繰り返し訪れる期待と失望に、心も体も疲れ果てていたといいます。
それでも、どうにかして未来を変えたいと奥さまは努力を続け、情報を集め、数え切れないほどの涙を重ねた末に、精子提供という選択肢に辿り着かれました。

そして、僕が精子提供をさせていただいた初回で奇跡のように妊娠が確認され、先日、3100g超の元気な女の子をご出産されたとの嬉しいご報告をいただきました!
奥さまの悲しみや苦しみ、そして憎しみが込められていた投稿は、いつの間にか削除されていました。それとともに、長い間心を縛りつけていた重たい感情も消えたように感じられます。この瞬間、僕は誰かの物語のヒーローになれたのかもしれません。一時的に痛みを和らげる単なる対症療法などではなく、新しい未来への扉を開くカギを手渡すことができたと思うと、この役割を担えたことに感謝と誇りを感じています。このご家族の新たな一歩に少しでも貢献できたことを、心から誇りに思います。

彼らにとってこの5年間は、想像を絶する苦悩と葛藤の日々だったはずです。しかし、この命の誕生を通じて、その傷ついた心が少しでも癒されたことを願っています。この奇跡に立ち会えたことに深く感謝し、ご夫婦の未来が光に満ち溢れたものであるよう心から祈っています。
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